市民意識の向上が地域や日本社会の閉塞感を打破する起爆剤
今月は夏休み期間中であり、学生達はどのような夏休みを過ごしているのだろうか。
先月、女子中学生による父親殺傷の痛ましい事件が起きた。発生直後は連日この事件に関する報道がニュースの上位に来ている。いくら報道内容を聞いても、とても実父殺傷の理由など理解できるものではない。今まで考えられなかった、中学生による重大事件を引き起こす事態が増えているのは、何故だろうか?
事件を引き起こす動機についても、勉強の事で家族に叱られたとか、両親の注意がうっとうしいとか、小さな不満の積み重なりが突然、堰を切った様に怒りが爆発して、凶行に及ぶというものである。昨年までは、中学生に関係した事件は主に学校で教員が知らない間に、同級生などから”いじめ”を受けて自殺をするケースが多かった。
先日も、市内のAさんと雑談の中で最近の中学生が引き起こす事件について話をした。1950年代、我々が子どもの頃には、家庭に兄弟も多く争いごとでも、兄弟喧嘩の中から自然と喧嘩のルールを体験したり、また遊び仲間の間でもガキ大将がいて、それなりに仲間内のルールを学び、争いごとや仲裁のやり方なども身に付いたものである。
しかし、現在の様に核家族化し、平均すれば2人程度の兄弟で少なく、個室が当たり前の家庭では、日常的に家族で余り話し合う機会が少なくなっているのではないだろうか?ましてや兄弟が男性と女性であれば共通の話題も少なく、結局は携帯電話のメールを通じたバーチャルな関係に依存してしまうのではないだろうか?
相手の声や顔が見えないバーチャルなメールのやり取りでは、他人に成りすますことも、自分の感情を抑制することなく、誹謗・中傷の類のメールを送り、送りつけられた相手がどの様に感じているかなど一切関係なく、ただ自分が感じた怒りや嫌悪感をそのまま相手にぶっつけてしまうという、怖ろしい面も持っている。
Aさんと話をしている中で、次のような原因が複合的に絡み合ってこのような社会現象を引き起こしているのではないかとの推論に至った。
原因1:食物摂取による偏り、ミネラルを含む栄養バランスの欠如
原因2:学校教育の問題、知識詰め込み教育や偏差値教育の弊害(わずか10年余りで”ゆとり教育”から逆戻りして点数主義への回帰)
原因3:子どもを育てる親自身が、成長過程で学校や友人関係で争いごとや喧嘩を仲間内で上手く処理する体験を経ない、純粋培養的な人生を送って来たために、人間関係の調整で現在苦労をしている。その様な両親に育てられている子供達が、学校や友達関係の中で発生した、人間関係のトラブルにどう対処していいのか、親は子どもに適切なアドバイスが出来ない。この場合、親は逆ギレしてこの問題が起きた学校に、問題処理の不手際について責任を追及する行為に走ってしまう。
最近起こった2件(常磐線荒川沖駅構内の事件、秋葉原の事件など)無差別大量殺人事件を成人が引き起こし、社会を不安に陥れている。こうした事件が頻発するのは、現代社会が潜在的に抱える人々の不安や孤独の心理が膨張し、社会的集団ヒステリー寸前の状況の中で、その一部が凶悪事件として顕在化してきているのではないかと思われる。このような社会不安を引き起こす原因については、専門家の調査・分析に基づく発表などを参考としていただくとして、素人なりにこの社会不安の原因を考えてみると、以下の様な事項が社会不安を引き起こしているのではないかと思われる。
①バブル崩壊後(1990年以降)市場経済とグローバル競争に伴って、企業がいままで手をつけなかった過剰人員の削減に本格的に取り組みだした。
②正社員と非正社員、契約社員化による人件費の抑制、それによる賃金の格差の発生。今までの様な中流意識の崩壊。
③団塊世代二世達の、就業機会の損失に伴う生活の不安定化と将来への不安。(安定した収入が見込めない多くの30代半ばの人々は、親と同居か親の支援を受けて、かろうじて生活を維持している)
④少子高齢化の進展に伴い、若年労働者不足に対処するため海外から外国人労働者の就業制限も規制緩和されようとしている中で、正社員として雇用されない団塊世代二世達やそれ以下の若者達の、生活安定はどう守れるのだろうか?
⑤人員削減による、正社員への過酷な超過勤務の常態化。その分家庭生活が犠牲にされ、母親や子供に負担が掛かる。
⑥日本の急速な少子高齢化社会への移行に伴う、社会保障費用の急増。国の社会保険制度を揺るがす国家公務員の無責任な年金保健の取り扱い、後手後手に回る政府の対応と国民の政府に対する信頼感の喪失。
⑦おれおれ詐欺に見られる、巧妙な詐欺事件の多発に見られる犯罪者の摘発率低下、社会の安全を維持する治安回復への不安。
(平成19年度版 警察白書より一部抜粋:刑法犯の認知件数は、平成8年から14年にかけて、7年連続で戦後最多の記録を更新し続けた。その後、15年から減少に転じ、18年中は205万850件と、前年より21万8,443件(9.6%)減少した。しかし、減少したとはいえ、120万件前後で推移していた昭和40年代の1.5倍を超える水準にある。刑法犯の検挙率は、昭和期にはおおむね60%前後の水準であったが、平成に入ってから急激に低下し、13年には19.8%と戦後最低を記録した。しかし、14年以降は連続して上昇し、18年中は31.2%(前年比2.6ポイント増)と、平成11年以来7年ぶりに30%台に回復した。)
⑧最近の、原油、原材料高騰による物価の高騰(値上げ)と、賃金水準が上がらない事による家庭の収支バランスの不安定化。
など、理由を挙げだしたらきりが無い状態である。
多くの日本人は急速に少子高齢化社会に移るこの時代、高齢者や若者の中にも、この先どうやって暮らしていけばいいのだろうかと不安を抱く人も多くいる。
今のところ、これが正解と言うような解決策は見つからないが、21世紀に入って、少なくとも今までのような価値観、社会制度や政治・経済の仕組みが大きく変わる、パラダイムシフトの時期を迎えているのではないだろうか?
日本の場合で言えば、今まで農業を支えてきた農業従事者(平均年齢は65歳以上)が更に高齢化し、一方農業の担い手が無く、このまま放置していけば日本の食料自給率は更に低下する危機的状況である。一方企業社会で働く多くのサラリーマンは、成果主義の仕事に追いまくられて、本人は会社の仕事で精神的にも、肉体的にもクタクタ、自宅に帰っても家族との絆を深める時間も少なく、家庭生活を犠牲にせざるを得ない状況にある。
この世に生まれて、一度の貴重な人生を人間として豊かに過ごす事を最優先にして、生活のあり方を根本的に考え直してみてもいい時期ではなかろうか? 戦前日本がたどった戦争と破壊への回帰は絶対に避けなければならないが、金の過多が全てを評価する様な経済(市場主義、儲け主義)一辺倒では困る。
例えば、若者が農業体験や漁業、林業体験を通じて、後継者作りに苦労している農業、漁業、林業など一次産業従事者を増やして、自然の恵みを受けた豊かな生活を取り戻す爲、首都圏や大都市から生活の場を地方に移して活動する場を求めてみてはどうだろうか?多様な価値観に基づいて、環境意識の高まりと共に人々が伸び伸びと豊に暮らせる日本社会の仕組みを再構築する、今は最適な時期を迎えている。どうせ働くなら、自分の好きな事で楽しく働ける仕事を探してみてはどうだろうか。
昔から日本社会は農業を中心に共同社会を構築し、農耕作業を進める上で、人々の協力無しには何事も上手く行かない社会であった。こうした相互扶助の関係の中で人々が信頼関係を築き、和を大切とする社会を築いてきた。
明治維新以後、遅れた日本の産業構造改革に取り組み急速に近代化を進めたが、戦前・戦後また現代に至る第二次の工業社会及び第三次の金融・サービス産業では、富の追求に偏りすぎて、人間関係の希薄化が進んだ。極端な見方をすれば富(金)を得るためには、人を人とも思わず道具として使い捨てするような風潮が社会に定着しているのではなかろうか。
こうした現代のミーイズム、無関心社会の中でも、社会的弱者や環境、国際的な災害救助、国内の大規模な自然災害等にボランティアで、多くの市民が救援活動に積極的に参加し、活動している人々が増えてきている。
税金を払っているから何事も政府や自治体任せで無く、市民自ら自分達の住む住環境や社会の安全、社会的弱者の救済活動に取り組む人や子供の教育・育成に積極的に参加する市民が増えてきている現象は、本当に喜ばしい限りである。
最近、外国から日本の文化を「クールジャパン(かっこいい日本)」として評価する外国人が増えて、日本観光をする人々が増えてきている。日本文化は人々が暮らす地域の生活・習慣の中から生まれて、長年引き継がれてきたものである。人々の良き人間関係があってこそ文化が築かれ、次の時代へ引き継がれるのである。
世界に類例無き、急速な少子高齢化社会に直面する日本で、クールジャパンを継続できる良き人間関係、豊かな生活環境作りを実現するために、多くの市民が主体性を持って社会活動に積極的に参加される事を期待したい。
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